厚木で『自己破産』なら【弁護士法人心 厚木法律事務所】まで

弁護士による自己破産@厚木

Q&A

自己破産したら引っ越しをしなければならないの?

  • 文責:所長 弁護士 横江利保
  • 最終更新日:2025年4月28日

1 アパート・マンション関わる問題を解説

自己破産手続きは、借金の返済義務を原則として全額免除して貰える債務整理手続きです。

しかし、その一方で、生活に必要な最低限のもの以外の債務者の財産は、原則として処分されてしまいます。

特に、自己所有のマイホームは非常に高価なものですから、処分の対象となることはほとんどの場合避けられません。

それでは、アパートやマンションなどの賃貸住宅に住んでいる方はどうなるのでしょうか。

自己破産をすると、引っ越しをしなければならないのでしょうか。

このページでは、自己破産をした場合の、アパート・マンション(賃貸住宅)に関わる問題を説明します。

2 賃貸住宅から出ていかなければならない場合

実は、自己破産したからと言って、必ずしも今住んでいるアパートやマンションなどの物件から追い出される訳ではありません。

また、自己破産の事実を、大家や管理会社などに事前・事後に伝える必要も、原則としてありません。

もっとも、既に家賃の不払いがある場合や、信販会社を通じて家賃を支払っている場合には、破産後に退去せざるを得ないことがあります。

⑴ 家賃を滞納している場合

家賃を3か月分以上滞納していると、そもそも賃貸借契約を解約され、立ち退きを要求されるおそれがあります。

また、1~2か月分の滞納であっても、自己破産をすることで、その滞納分の支払いが免責されるので(自己破産の事実が貸主に通知されているので)、貸主(賃貸人・家主)は、賃貸住宅の明け渡しを求めるでしょう。

そのまま住み続けるには、強制退去をさせられる前に、一刻も早く家賃の滞納を解消する必要がありますが、しかし、自己破産手続きを行っている最中や、その直前に(特に弁護士の介入後に)滞納分の家賃を支払ってしまうと、それは「偏頗弁済」という破産法上の免責不許可事由になってしまう可能性があります。

偏頗弁済(へんぱべんさい)、すなわち、特定の債権者に対してのみ行う偏った返済は、債権者を公平に取り扱われなければならないという「債権者平等の原則」に反するため、禁止されているのです。

とはいえ、住居は、生活をする上で必要不可欠なものです。

確実な対応策としては、「第三者弁済」を検討すべきです。

第三者弁済とは、本来お金を支払うべき人に代わって、他人がお金を支払うことです(ただし、ここでいう第三者弁済とは、単に支払いの名義が第三者というだけではなく、その支払原資も第三者が実質的に負担していることが必要です)。

滞納分の家賃については、親族などに代わりに支払ってもらうと、偏頗弁済も疑われずに安心です。

ただし、同居の家族(特に自己収入が乏しい人)だと、名前だけを借りて、債務者が事実上支払っていると思われかねませんから、できる限り避けましょう。

⑵ 滞納はないが、信販会社を通じて家賃を支払っている場合

この場合は、たとえ家賃の滞納がなくても、退去が必要となる可能性があります。

というのも、この場合の家賃の支払方法は、信販会社への支払いが口座振替などであっても、家賃をクレジットカードで支払っているようなものです。

自己破産をすると、ブラックリストに登録され、一定期間は信販会社やクレジットカードを利用できなくなります。

そのため、大家が家賃の支払方法の変さらに応じない限り、家賃の支払手段がなくなってしまうので、結果として退去せざるを得なくなってしまいます。

3 破産後の引っ越しについて

自己破産手続きに伴い引っ越しが必要になったとしても、いきなり行く当てもなく住居から追い出されることはありません。

これはマイホームの場合も同じです。

マイホームを処分するといっても、それを買い取る人が現れるまで、実際には、数か月程度のスパンの時間がかかります。

また、アパートの賃貸借契約を解約されても、建物明渡しの裁判が開始してから実際に退去させられるまでには、これまた数か月の時間が必要です。

このように、ある程度の時間の余裕はありますから、仮に、破産後の引っ越しが必要となっても、パニックにならずに、新しい転居先を探しましょう。

なお、自己破産をするとアパートが借りられなくなるという噂がありますが、これは「必ず」という訳ではありません。

しかし、ブラックリストに登録される影響で、家賃に関する保証会社の審査に通らない可能性が生じるのは事実です。

もっとも、家賃保証専門の保証会社など、信販会社系列ではない民間系の保証会社であれば、ブラックリストを確認しないことも多いです。

また、大家さんが不動産会社を介さずに自ら契約関係や家賃の集金等を切り盛りしているような場合は、保証会社なし、保証人だけで契約可能という条件の物件が出てくることもあり得ます。

根気強く、手広く探すことで、引っ越し先を見つけることは十分可能でしょう。

4 自己破産をする際は弁護士にご相談ください

自己破産の最大のデメリットが、財産の処分です。マイホームをお持ちの方は、生活の場を手放さざるを得ないことがほとんどです。

また、アパート・マンションに住まいの方でも、家賃の支払いに関する状況次第では、立ち退き回避のための対策をする必要が生じます。

いずれにせよ、自己破産手続きは、マイホームやマンション、アパートなどの住居に大きな影響を及ぼすことがあります。

日常生活を守るためにも、弁護士に早くから相談して、適切な助言を受けるようにしましょう。

弁護士紹介へ

スタッフ紹介へ